SoUnD~僕らの世界~
未那がケータイを持って俺たちの席から外れて、あれから十五分くらい過ぎようとしていた。
「未那遅いな。」
真宏さんが呟くように言ったその言葉で、俺も徐々に心配になってきた。
「智くんかなぁ。」
「あの、智さんって未那の彼氏ですよね?」
「あ、うん。雅くん知ってるの?」
「一度お会いしたことがあって。」
「あ、そうなんだ。智くん、ちゃんと話したのかな。」
「え、何をですか?」
「智くんね」
「お待たせ。」
そのとき、未那が小走りで戻ってきた。
さっきと変わりない様子で。
「遅かったねぇ。智くんと話してたの?」
「あ、まぁ、ね。」
「未那さん、ラブラブなんですね?」
「ありがとう。紗奈ちゃんだって、彼氏くんくらいすぐできるよ。可愛いから。」
「そ、そんな・・・。」
さっきと変わらず話をしている未那。
でも、俺には無理をしているようにしか見えてなかった。
未那の目が、悲しい色をしていたから。
「真宏、私・・・これから行かないと。」
無理に作った笑顔で、その場の空気を悪くしないように気を配る未那。
荷物の整理をしながら、真宏さんも少しせかす。
「文化祭おもしろかったのに。まぁ、彼氏には勝てないか。」
真宏さんが荷物を持ちながら俺の方を見た。