SoUnD~僕らの世界~
「雅!」
紗奈の少し怒った声が俺の心に届いた。
「んあ、紗奈。ごめん。」
「どうしたの?あの人たちの知り合いなの?」
「いや、その・・・。まぁ、女の人の方は知り合い。」
その時、紗奈の顔つきが変わった。
「あの人、タオルの女の人?」
「タオルの?」
「この前、タオルを貸してもらったお姉さん?」
紗奈が呟くようにその言葉を口から漏らしていく。
これが女のカンとかっていうやつだとしたら、さすがだと思う。
「まぁ、な。当たり。」
「気になるんだ・・・。」
「・・・まぁ、な。」
気になると言われて、思わずそう言ってしまった俺。
更に紗奈の顔が明るさを失っていく。
さっきまであんなにも楽しそうにしていたのに。
紗奈も未那も、2人とも悲しい顔をしていた。
その時、未那と会話をしていた男の人が1人先に帰って行った。
未那はまだ椅子に座ったまま、俯いていた。
今すぐに未那の隣に行きたかった。
『どうかしたのか?』って言いたかった。
でも、俯いている未那の姿を見ていると、今は何も言わない方がいいんだと思った。