SoUnD~僕らの世界~
「雅、帰ろう?帰って練習しないと、私たちどんどん遅れてっちゃうから。」
紗奈の方に視線を戻すと、ファミレスを出る準備をしていた。
俺も自分のカバンを持ってギターを背負い、未那を残してファミレスを出た。
外に出ると紗奈が歩くのをやめた。
「紗奈?」
「雅、私ね・・・」
「ん?」
「雅の歌声、すっごく好きなの。」
「・・・おう。」
「だから、練習。歌もギターも同じくらい頑張ってね!」
「あぁ。わかってる。じゃぁまた明日な。」
「うん。また、明日。」
そして俺たちはお互いの家がある方へ歩き出した。
家に帰っている途中も、俺は未那のことをずっと考えていた。
あの後、未那は家に帰ったんだろうか。
あの男の人は、彼氏、だったんだろうか。
でも、そんなこと、俺には関係ない。
そのはずなのに、俺の心の中は何かモヤモヤした気持ちでいっぱいだった。
部屋でギターの練習をしても、歌の練習をしても、宿題をしても、俺の頭の中は未那のことでいっぱいだった。
「・・・未那。」
今日知ったばかりの未那の名前。
また明日、呼べるだろうか。
そしたら、未那は笑ってくれるんだろうか。
そんなわけ、ないか・・・。
だって俺は・・・ただの『知り合い』だから・・・。
でも、このモヤモヤは、なんなんだ・・・。
この日また俺は、一睡もできなかった。