SoUnD~僕らの世界~
「未那?」
「・・・かっこいいでしょ?さすがでしょ?」
そんなに無理して俺に笑顔を見せるのはなんで?
「未那、どうかしたのか?」
「何にもないよ?いつもと同じよ。あ、じゃぁ、またね。」
「あ、あぁ・・・」
ニコッと笑って未那はバスを降りて行った。
『何もないよ』
そう言っている未那の顔は笑っているのに、悲しくて寂しい表情だった。
そんな未那を見ていると、なぜか、俺の心まで悲しくなる。
そんな想いを胸に、俺もトボトボと学校へ向かった。
放課後、この時間でも俺はやっぱり未那のことを考えていた。
今ごろ未那はあの彼氏と一緒にいるのか・・・。
「雅!」
「おわ!?ちょ、紗奈!俺の鼓膜!!」
「鼓膜よりも練習よ!」
いきなり耳元で大声出されて、練習どころじゃねぇよ。
鼓膜がおかしいのに、音がうまくとれるわけねぇし。
結局俺は、紗奈に五分間怒られっぱなし。
でも、鼓膜がね!?聞かねぇから!!
紗奈のせいで!!
なんて、んなことは言えない。
また五分延びそうな気がするし。