SoUnD~僕らの世界~
次の日、目が覚めていつもと同じように準備をして家を出た。
玄関で靴を履いているときに、一輝が降りてきて一言「いってらー」と言われた。
んなことめったに言われねぇんだけど。
今日もまた何かありそうな予感がした。
そしてそれはその数分後に起こったんだ。
バス停でバスを待っている間、俺は一度背中からギターを降ろした。
昨日と同じ時間に出てきたつもりだったのに、なぜかかなり早く着いてしまった。
ずっと背負ってたら背中が痛くなってきた。
地面に降ろして、倒れないようにしっかりと支える。
そして、バスが見えたときそのギターを再度背負ってバスに乗った。
今日も未那はあの席にいる。
そう思っていた俺の考えはすぐに書き換えられてしまった。
「あれ・・・」
未那がいつも座っていたそこに、未那の姿がなかった。
違う席に座ってるのかもしれないとも思ったけど、どこにも未那の姿は見えなかった。
そうこうしていると未那がいつも降りているバス停に着いた。
もちろん、今日はここで降りるはずの未那がいない。
俺はただ通路に立って、未那のことを考えるばかり。
バスのドアが閉まってバスが動き出した。
窓の外を目で追うけど、やっぱり未那の姿はなかった。
俺が降りるバス停に着くまでの時間、俺はずっとギターを背負ったまま通路に立っていた。