SoUnD~僕らの世界~

学校について、視聴覚教室に向かう。


そこは静かで誰もいない。




俺はギターを定位置に置いて、いつもならここで教室を出て行くのを、今日はすぐに教室を出ることができなかった。



「・・・なんでだよ」


未那に会えない。



俺の心の中は、とてつもない不安な気持ちでいっぱいだった。



昨日の朝の未那の悲しくて寂しい表情が、俺の頭の中を何度もチラつく。


その度にやっぱり俺の胸は苦しくなって、不安になる。



「なんで、あんな顔・・・。なんで今日いないんだよ・・・。」



一人、視聴覚教室の中で俺は壁を一発だけ力を込めて殴った。



痛かった。


でもこんな痛み、今の俺の心の痛さに比べればなんともなかった。





それからの時間はどうやって過ごしていったのかわからない。


時々授業中に先生に注意をされながら、それでも俺の頭の中は未那のことしかなかった。


気がつけば午前の授業が終わっていて、昼飯の時間。



紗奈が俺にいつもの如く誘いに来てくれた。


俺は返事をしたっけ。



とにかく紗奈と移動して、弁当を食った。


でも、その弁当の味も、おいしいはずなのに何も味がしなかった。



気がつけば弁当箱は空っぽで、気がつけば教室にいて授業が始まっていて。


そして、気がつけば放課後、部活の時間になっていた。



今日の俺は、今まで何をしていたんだろうか。


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