SoUnD~僕らの世界~
「エンジンかかるの遅ぇ。」
「わり、わり。」
「ギターが泣いてるぜー。ちゃんと俺に良い音を出させろ、ってなぁ。」
「いや、こいつ男じゃねぇし。」
「は!?まじか!?」
「女でもねぇよ。」
「ちぇっ、相変わらずいいとこ突くー。」
やっと俺のバンドがらしくなってきた。
紗奈も、そんな俺たちを見ながら笑っていた。
それから部活が終わるまでは最高にいい音が出せた。
俺は練習できてなかったものの、何とか自分の責任を取ろうと必死で弾きまくった。
その結果、まぁ満足のいく仕上がりになった。
これから更に細かいところを修正かけていけば、今回も先輩たちに負けないくらいのものができそうだ。
下校中、俺はしばらく忘れていた未那のことを思い出した。
でも、朝みたいにウジウジはしていなかった。
きっと今日は何かがあって、きっとあのバスに乗れなかったんだ。
そう自分に言い聞かせて、俺は家に帰った。
そして今日は真面目にギターの練習と歌の練習をした。
歌を歌うのは特にいじるところってのはないから、基本的にはギターの練習。
所々修正をかけながら着々と練習を進めた。
最後は弾き語りで良い締めくくりができた俺は、のんきに鼻歌を歌いながら風呂に入ってそのまま眠りについた。
これから待っている日々のことなんて考えもせずに。