SoUnD~僕らの世界~
未那がそっと俺に向かって手をあげた。
そのとき、やっぱり俺の目にはあるものがとまった。
そのまま未那はバスを降りて学校へ向かって行った。
俺は一人バスに揺られながら、あの傷のことを気にかけていた。
どうしてだろう。
なんでなんだよ・・・。
未那がどうしてけがを負う必要がある?
あの彼氏・・・。
いや、未那の彼氏なんだ。
そんな最低なやつなわけないだろ。
俺は最近自分に言い聞かせることが日に日に増えているような気がしていた。
でも、そうでもしないと自分自身のこの感情をうまくコントロールできないんだ。
すげぇ弱い人間だと思う。
だけど、今は、今の俺にはどうすることもできないんだから。
俺は学校に着いてからも、心ここにあらずの状態だった。
紗奈たちもこんな俺を見捨てずに、なんとか一緒にいてくれている。
でもきっと内心では、俺のことをうざく思っていると思う。
こんなリーダーなんて、何の役にも立たないんだから。
バンドで練習をしていても、やっぱり失敗するのは俺。
あいつらはできてるっていうのに、俺があいつらの足を引っ張ってる。
情けない、申し訳ない、そう思っても、やっぱり俺の中で未那の存在がデカすぎるんだ。
「雅。」
「あ、おう。直登、どうかしたか?」
「どうかしたか、は雅のほうだろ。」