SoUnD~僕らの世界~
そんな日々を送っていると、やっぱりこうやって聞いてきてくれるやつもいる。
でも俺は、そんなとき決まって同じような言葉を言う。
「わりぃ、俺が足引っ張ってんだよな。最低だよな。」
自分を自負する。
自分で自分のことを嫌っている俺にとって、こんなことを言うのは何とも思ってなかった。
「バカ!雅、お前本当にどうかしてんぞ!?」
「だから、それはホントに」
「いい加減目覚ませよ!しっかりしろよ!!」
直登が俺に向かって声を荒げた。
周りにいた人たちが俺たちに視線を送ってくる。
「直登、今練習中だろ。俺が悪かったんだって・・・。ごめん。練習しようぜ?」
「したくねぇ。」
俺の目の前にいる直登の目は本気だった。
俺はその目を直視するのが苦しくなって目を逸らした。
「雅、ちょっとだけここから出ようぜ。話たいことがある。」
そう言って直登は先に視聴覚教室から出て行った。
「雅、行っておいでよ。帰ってきてからまだ練習できると思うから。」
紗奈が俺にそっと言ってくれた。
そして俺は、ギターを持っていた手から相棒を放し、視聴覚教室を後にした。
廊下を少し歩いていったところに直登がいた。
そこは人気が少ない階段の踊り場だった。
「直登・・・」
「雅、俺、紗奈から話し聞いちまってさ・・・。」
「え?」
「その・・・専門生の人の話。」
その言葉を聞いて、俺の頭の中がフリーズした。