SoUnD~僕らの世界~
秋先輩が招集をかけたってことは、まじか!?
もうそんな時期!?
「んじゃ、もうみんな分かってるだろうけど、今度の文化祭でのバンド枠は三つ。」
「うわ、三つだって。」
いきなり来たこの情報に周りはみんな慌てふためきだす。
周りがざわつき始めると「最後まで聞け」と先輩に注意されるわけだが。
「んで、そこで一年、二年、三年で一枠づつ割り振ることにした。ただ、一年に関してはどこも不十分だった場合、一年枠は無し。」
「それって、二年と三年で振り分けるってことだよね。」
「だな。俺ら一年のボンボンはまだまだってことだな。」
入学してから今までにも何度もチャンスはあった。
地域でのミニライブ。
これは老人ホームに行って楽しくふれあおう、みたいなやつだったかな。
これに俺たちも参加できた。
あれが俺らの初舞台だったなぁ、なんて思っていると、隣から誰かが俺の肩を小突いてきた。
「って、陵かよ。なんだよ。」
「あ、そのさ。文化祭って今までやってきたライブよりはるかに大きいよな。」
「そうだろうな。だからかなり重要だな。」
「うぅ・・・やりてぇっ。」
「一年枠、もらおうな。」
老人ホームほか、新しくできたショッピングモールでのミニライブ、路上ライブその他もろもろやってきたわけだが、文化祭以上に大きなものはなかった。
ここで出られないとなると、今までの苦労はなんだったんだって話だ。
今の俺たちの状態的には悪い方じゃない。
俺、紗奈、直登、陵、それぞれまだ不十分なところはある。
でも、ここで諦めるようじゃだめじゃん?
「最終的にバンドを決めるのは俺と、まぁ、こいつなわけ。」
「みんな頑張れよっ。」