SoUnD~僕らの世界~
未那の隣に座りながら、俺は未那にそう告げた。
「うん、その後に私も言うから。」
最初からこうすれば昨日の時点で話がすんでたのにな。
ギターを手で支えて、一呼吸おいて口を開いた。
「未那さ」
―――その手首の傷はどうした?
俺が聞きたかったこと。
今やっと聞くことができた。
どうして未那がそんな傷を負っているのか。
俺に話してほしかった。
未那が自分でそんなことをする奴じゃないって、俺は思ってる。
でも、そんなこと、聞いてみねぇとわからない。
だから聞くんだって、おととい直登と話したんだ。
結局昨日は聞けなかったこの質問を今日、未那はちゃんと話してくれるだろうか。
そんな期待を胸に、俺は未那の返事を待っていた。
そして・・・。
「・・・雅には言いたくない。」
未那の返事はその一言だった。
その一言と共に、未那の表情が一気に曇ってしまったんだ。
未那をこんな表情にさせてしまったのは、俺だ。
それから数分間、俺と未那の間に会話はなかった。
そのまま未那はバスを降りて行ってしまった。
俺は学校についても、しばらくは何もしゃべることはなかった。
直登も何かを察してくれたのか、そんな俺をそっとしておいてくれた。
こんなことになるなら、聞かなければよかったのかもしれない―――。
今はこう思うことしかできなかった。