バイナリー・ハート 番外編
1.ランシュ改造計画


「とりあえず、全部脱げ」
「え? ここで?」


 少し眉をひそめてロイドを一瞥した後、ランシュは視線を巡らせた。

 午後の日射しが、リビングの室内を明るく照らしている。
 室内中央では、ソファに座って身を乗り出すようにしながら、メモを取り、料理番組を見ているユイがいた。

 当然のようにブラーヌは遺跡の調査に出かけたままだったが、他の面々は珍しく全員休みで家にいた。

 ロイドはビデオカメラを片手に、ランシュの今の状態を撮影するため、リビングに呼び出したのだ。

 ランシュの身体の改造は大がかりになるので、一度に全部は難しい。
 そもそも内蔵プログラムの改造以外は、科学技術局の研究室でしか行うのは困難なのだ。

 研究室をあまり長時間立入禁止にすると、特に副局長からクレームが付きかねない。

 設計図と仕様は、ランシュの記憶の中にしかない。
 免職になった時、強制的に処分させられたからだ。

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