バイナリー・ハート 番外編
1.ランシュ改造計画
「とりあえず、全部脱げ」
「え? ここで?」
少し眉をひそめてロイドを一瞥した後、ランシュは視線を巡らせた。
午後の日射しが、リビングの室内を明るく照らしている。
室内中央では、ソファに座って身を乗り出すようにしながら、メモを取り、料理番組を見ているユイがいた。
当然のようにブラーヌは遺跡の調査に出かけたままだったが、他の面々は珍しく全員休みで家にいた。
ロイドはビデオカメラを片手に、ランシュの今の状態を撮影するため、リビングに呼び出したのだ。
ランシュの身体の改造は大がかりになるので、一度に全部は難しい。
そもそも内蔵プログラムの改造以外は、科学技術局の研究室でしか行うのは困難なのだ。
研究室をあまり長時間立入禁止にすると、特に副局長からクレームが付きかねない。
設計図と仕様は、ランシュの記憶の中にしかない。
免職になった時、強制的に処分させられたからだ。
< 1 / 101 >