バイナリー・ハート 番外編


「本気か?」


 短く尋ねると、ランシュは邪気のない笑顔で答えた。


「冗談に決まってるじゃないですか」


 ロボットの言う冗談など、冗談に聞こえない。

 話を逸らすために、ロイドは精一杯明るい声でランシュを誘った。


「よし。おまえ、とりあえずセクサロイドで筆おろししとけ」
「はぁ?」


 呆気にとられて目を見開くランシュの肩を抱いて、ロイドは玄関に誘導する。


「いや、オレは別に……」
「心配するな。相手は百戦錬磨だ。手取り足取り教えてくれる」

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