バイナリー・ハート 番外編


 ランシュも共に帰ってくるように言われていたので、研究室に迎えに行こうとすると、本人が局長室にやってきた。
 白衣を羽織ったままで、全く帰り支度をしていない。

 ロイドが抗議するように、少し眉を寄せて見つめると、ランシュは申し訳なさそうに苦笑した。


「先生、オレ、今夜泊まりになりました」
「は?」


 ランシュが言うには、副局長に補佐を頼まれ、一晩付き合わなくてはならないらしい。
 だが、副局長の専門はバイオだ。
 機械工学専門のランシュに、補佐など出来るのか疑問だ。


「おまえに手伝える事なんてあるのか?」
「研究の方は手伝えないんですけど、遠心分離器の調子が怪しいらしくて……」


 今修理に出して何日も使えないのは困るし、かといって途中で壊れたらもっと困るので、その場合、応急処置を頼みたいという事らしい。

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