バイナリー・ハート 番外編


 そのデータ量も膨大なので、一度に取り出すのは時間がかかる。
 小出しにしてもらっているため、ロイドも全ての機能を把握していなかった。

 今のところ、視力、聴力、筋力のデチューンと寿命の設定は終わっている。
 後は、皮膚の老化メンテのために、シミュレーションデータを作らなければならない。

 一気に老けたらマズイので、緻密なデータ処理が必要になってくる。
 そのためには今の状態も、できるだけ細密でなければならないのだ。
 服を着たままでは、正確なデータが取得できない。


「この部屋が、うちの中じゃ一番明るいんだ」
「だって、ユイがいるのに……」
「ロボットが恥ずかしがるな」
「都合のいい時だけロボット扱いしないでください」


 仕方なくロイドは、ユイに声をかけた。


「ユイ、その番組は録画して後で見てくれないか?」


 ユイはこちらに目もくれず拒否する。


「やぁよ。もうすぐ終わるのに、邪魔しないで」


 にべもなく断られ、ロイドは嘆息した。

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