バイナリー・ハート 番外編


 ロイドは大きくため息をついた。


「ユイには知らせたのか?」
「はい。そういう事情なら仕方ないって言ってました」


 どうやらユイの用事は、二人揃ってなければならないわけではないようだ。


「久しぶりに二人きりの時間を楽しんで下さい」


 笑顔で送り出すランシュに、忘れず夕食を摂る事を言い残して、ロイドは一人で科学技術局を出た。

 人間なら一食や二食抜いたところで、身体が動かなくなる事はないが、ランシュはきっちり三食摂らないと、充電が必要になる。
 精巧な身体は、案外エネルギー消費量も大きいらしい。

 充電は家庭用の電源で簡単に行えるが、そんなところを他人に見せるわけにはいかないのだ。

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