バイナリー・ハート 番外編
日暮れ前のラフルール商店街は、いつもロイドが帰る頃より開いている店が多い。
人通りも多く、賑やかだ。
毎日前を通るのに、そこが何の店か初めて知った店もある。
そんな店の一つ花屋の店先で、黄色い実を付けた鉢植えがロイドの目を引いた。
近寄ってみると木苺のようだ。
ユイが庭に植えた木苺は、赤と青と黒だ。
黄色は珍しい気がする。
形は小さい粒が密集した、赤い木苺と同じような形だ。
まだ熟れきっていないだけで、その内赤くなるのかと店員に尋ねたら、元々こんな色だという。
珍しい木苺をユイに見せてやりたくて、ロイドはその鉢植えを購入して家路についた。