バイナリー・ハート 番外編
未だに睨み合っている二人に、結衣は苦笑して声をかける。
「親子ゲンカもほどほどにして、みんなでお茶にしましょう」
「……え……」
ロイドとランシュは同時に声を発して結衣を見た。
そして二人とも同じように眉をひそめ、さも嫌そうに互いを見つめ合う。
親子だと言われたのが気に入らないのだと結衣も悟った。
結衣はため息と共に二人を諭す。
「だって住民情報の上では親子でしょ?」
結衣の言葉に、二人はすかさず反論した。
「確かにデータの上ではそうだが、こんな母親に色目を使う口の減らない息子なんて願い下げた」
「オレだって、ちょっとでも母親に近付いただけでヤキモチを焼く父親なんて嫌ですよ」