バイナリー・ハート 番外編
考え込むランシュに、先生が渋い顔で忠告した。
「おまえの事だから造作もないだろうが、ホストを探るのはほどほどにしとけよ。
足が付いたらヤバイ」
「分かってます」
実のところ、局のホストコンピュータなら、すでに探った後だ。
開局からこれまでの研究成果や事件記事、局員の個人情報まで、局内の情報は全てここに収められている。
あの人が起こした事件は、世間を騒がせた大事件だ。
記録が残っていないわけがない。
ランシュも真っ先に調べた。
もちろん、下っ端局員のランシュにはアクセス権限すらないので、勝手に侵入したのだが。
リスクを冒した割に、ランシュが知っている以上の大した情報は得られなかった。
「女心なら女に訊けばいい。ヒントくらいは得られるかもしれないぞ。フェティにでも訊いてみたらどうだ?」