バイナリー・ハート 番外編


 ほとんど局内に引きこもっていた上に、人に興味を示していなかったランシュに、そんな経験があるとは思えない。


「見栄を張るな」
「だから決めつけないでください。オレにはあなたの知らない二年間があるんですよ」


 言われてみれば、ベル=グラーヴと暮らしていた二年間の事を、ロイドはほとんど知らない。

 だがその時、ランシュの身体は、すでにロボットだった。

 素朴な疑問が湧いてきて、ロイドは尋ねた。


「おまえ、男としての機能はあるのか?」


 ランシュは当然とばかりに、しれっと答える。


「ありますよ。生殖能力はありませんけどね」

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