バイナリー・ハート 番外編
いつの間に帰ってきたのか、不機嫌そうなロイドが、結衣から引き剥がしたランシュの額をペシッと叩いた。
「ったく。油断も隙もあったもんじゃない、このエロ息子」
「変な言い方しないで下さい。感謝のキスじゃないですか」
ムッとして反論するランシュの額を、ロイドはもう一度叩く。
「黙れ。ユイの国じゃ、親兄弟とキスはしないんだ。おまえもソータから聞いただろう」
「ここはクランベールで、オレはクランベール人です。あなただってオレにキスしたことあるでしょう?」
「えぇ?!」
ランシュの言わんとすることは分かっていたが、結衣はわざと派手に驚いて見せた。
案の定ロイドは、おもしろいほどうろたえて即座に言い訳をする。