バイナリー・ハート 番外編
「だったら、どうしてそんなに無気力なのよ。私なんて毎日ワクワクしてしかたないのに」
「へ?」
どこにそんなテンションの上がる要素があるのか、ランシュには理解できなかった。
フェティは目を輝かせて、興奮したようにまくし立てる。
「ここはそう簡単に入る事の出来ない場所なのよ。そこに二十四時間いられるあなたは恵まれているわ。周りは超一流の科学者ばかりで、学べる事はたくさんあるでしょ?」
確かにフェティにとってはそうだろう。
科学技術局の入局試験は超難関だと聞いている。
知識や技術以外に、人格や素行も評価の対象になるらしい。
その難関を突破して入ってきたばかりの彼女が、やる気に溢れているのは納得できる。
だが自分は——。