バイナリー・ハート 番外編


「これに根を詰めてたのね。少しは休まないとダメよ。あなたはあまり丈夫じゃないんだから」

「だって、オレには時間がないし」

「でも、無理して倒れたら、余計に時間を無駄遣いしちゃうわよ。観念して今日はゆっくり休みなさい」


 少し体調が快復したら再開しようと思っていたのを、見破られたらしい。
 フェティはそっと手を伸ばし、ランシュの首筋に触れた。
 しっとりとした手が、ひんやりと心地いい。


「すごい熱じゃない。薬は?」
「さっき注射した」
「そう」


 ホッとしたように息をついて、離れようとしたフェティの手に、ランシュは自分の手を重ねた。


「フェティの手、冷たくて気持ちいい」
「あなたが熱すぎるのよ」

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