バイナリー・ハート 番外編
洗い物を片付けながら、ランシュは素朴な疑問を口にする。
「これ、いつからため込んでるの? 今日一日でこんなに汚したわけじゃないよね?」
普段は副局長としてそれなりの礼は尽くしているが、二人きりになるとランシュはフェティに対して敬語ではなくなる。
子どもの頃からの付き合いだからだ。
専門も違うので仕事上での付き合いはほとんどない。
けれど、あまり人と拘わらないようにしていたランシュに対して、フェティはおかまいなしに拘わってきた。
そのせいで、ランシュにとっては腐れ縁的友人のようなものだった。
フェティは振り向きもせず平然と答える。
「三日くらいかしら?」
その背中に向かって、ランシュはイヤミを言ってみた。