バージニティVirginity
キスをしながら、サトルの右手が玲の胸を、薄手のブラウスの上から撫でるように触り始める。
「すっげぇ…」
サトルは感極まったように言うと好色な笑いを浮かべ、思い切り玲の片方の乳房を鷲掴みにした。
「イヤッ…」
玲は悲鳴をあげた。
するとサトルはいきなり身体を離し、玲の手を強く引いて、玲を起こした。
「場所変えよう。うちに行こう」
サトルの目は血走っていた。
電車の中は、まだたくさんの人で混雑していた。
車両のドア脇のスペースを確保したサトルは、人目を憚ることなく、玲の肩を抱き、頭を撫でたり、玲のストレートの髪を自分の指に絡めたりした。
サトルの頬は上気し、うっとりするような目付きで玲を見ていた。
サトルの住むマンションは、横浜から電車に乗って30分ほどの駅の近くにあると言う。
外の風に当たると、サトルは平静さを取
り戻した。
今、住んでいるマンションは、会社が借り上げてるんだ、とサトルは言う。
そうなの、と答えながら、サトルの態度の振り幅が大き過ぎて、玲は内心戸惑っていた。
「玲ってすげー可愛い。
俺、玲に出逢えてマジ良かった」
サトルの口調は時々舌足らずになる。
サトルは後から頼んだジョッキ二杯分のビールを店を出る前に一気飲みのように飲み干していたので、酔ってしまったのだろうと思った。
こんな時でさえ、玲はつい計算してしまう。
初々しく見えるように恥ずかしそうに少し笑い、俯いてみせる。
「俺の熱海の実家、旅館やってるんだ。兄貴が跡継いでるんだ。
今度泊まりに行こうよ」
サトルは玲の耳朶に触れながら、囁く。
本当だろうか…と思いながら
この男をあまり本気にさせないほうがいい、と感じて始めていた。
「行かれないわ。夫がうるさいもん」
サトルを刺激しないように拗ねた口調で言う。
「離婚しちまえよ、そんなもん」
サトルは吐き捨てるように言うと窓の外
に目をやった。
「もっと近づいてよ」
サトルはそういって、玲の肩を抱いた手に力を込め、ぐっと引き寄せた。
電車を降りると、サトルは玲に右手を差し出し、二人は手をつないで歩いた。
サトルの手はじっとりと汗ばみ、熱かった。
サトルの住むマンションは5階だての煉瓦作り風の立派な建物だった。
エレベーターの中でも、玲とサトルは手をつないでいた。
サトルは急に無言になった。
「サトルくんち何階なの?」
と玲が聞いても、
「うん…」と言ったまま答えない。
エレベーターの階数を示す表示板をじっと見つめるサトルの喉仏がごく、と動き、こめかみの辺りから大量の汗が吹き出していた。
サトルがとても緊張しているのがわかった。
「すっげぇ…」
サトルは感極まったように言うと好色な笑いを浮かべ、思い切り玲の片方の乳房を鷲掴みにした。
「イヤッ…」
玲は悲鳴をあげた。
するとサトルはいきなり身体を離し、玲の手を強く引いて、玲を起こした。
「場所変えよう。うちに行こう」
サトルの目は血走っていた。
電車の中は、まだたくさんの人で混雑していた。
車両のドア脇のスペースを確保したサトルは、人目を憚ることなく、玲の肩を抱き、頭を撫でたり、玲のストレートの髪を自分の指に絡めたりした。
サトルの頬は上気し、うっとりするような目付きで玲を見ていた。
サトルの住むマンションは、横浜から電車に乗って30分ほどの駅の近くにあると言う。
外の風に当たると、サトルは平静さを取
り戻した。
今、住んでいるマンションは、会社が借り上げてるんだ、とサトルは言う。
そうなの、と答えながら、サトルの態度の振り幅が大き過ぎて、玲は内心戸惑っていた。
「玲ってすげー可愛い。
俺、玲に出逢えてマジ良かった」
サトルの口調は時々舌足らずになる。
サトルは後から頼んだジョッキ二杯分のビールを店を出る前に一気飲みのように飲み干していたので、酔ってしまったのだろうと思った。
こんな時でさえ、玲はつい計算してしまう。
初々しく見えるように恥ずかしそうに少し笑い、俯いてみせる。
「俺の熱海の実家、旅館やってるんだ。兄貴が跡継いでるんだ。
今度泊まりに行こうよ」
サトルは玲の耳朶に触れながら、囁く。
本当だろうか…と思いながら
この男をあまり本気にさせないほうがいい、と感じて始めていた。
「行かれないわ。夫がうるさいもん」
サトルを刺激しないように拗ねた口調で言う。
「離婚しちまえよ、そんなもん」
サトルは吐き捨てるように言うと窓の外
に目をやった。
「もっと近づいてよ」
サトルはそういって、玲の肩を抱いた手に力を込め、ぐっと引き寄せた。
電車を降りると、サトルは玲に右手を差し出し、二人は手をつないで歩いた。
サトルの手はじっとりと汗ばみ、熱かった。
サトルの住むマンションは5階だての煉瓦作り風の立派な建物だった。
エレベーターの中でも、玲とサトルは手をつないでいた。
サトルは急に無言になった。
「サトルくんち何階なの?」
と玲が聞いても、
「うん…」と言ったまま答えない。
エレベーターの階数を示す表示板をじっと見つめるサトルの喉仏がごく、と動き、こめかみの辺りから大量の汗が吹き出していた。
サトルがとても緊張しているのがわかった。