全てを失った二人の物語
五年後
堪えられない。
母の暴力。
父の暴力。
もう限界だった。
格式名高い大名家に生まれて、それ相応の教育を施された。
寂しかった。
悲しかった。
見つけて欲しかった。
両親はあたしを監禁した。
小さな、薄汚い部屋で何時も見ていたのは夜空。
満天に輝く沢山の光。
あの星を、大きな原っぱで、広々と寝っ転がって、誰の目も気にせずに見れたなら、
自由に、走り回れたなら、
どれ程、気持ちが良いのだろう。
外に出たい。
――あたしは、母様や父様の物じゃない。
逃げてやる。
こんな腐りきった屋敷から、逃げてやる。