全てを失った二人の物語
ハローこんにちは
軍服を着た人達の軍団。
珍しく、軍が動いている?
「─このあたりに賊が潜んでいるはずだ!見つけるまでくまなく探せ!!」
「はっ!!」
ザッザッザッザッ─
軍隊の中でも隊長らしき人物の言葉を合図に、隊は列を乱し、バラバラの方向へ走り去っていった。
「賊?…」
困惑する頭を必死で振り絞って、隊長のもとへ行った。
「なんだいお嬢さん、知らないのかい?
ここは危ない、早く家に帰りなさい!今夜は外出禁止だ!」
背中を押してくる隊長に、尚も食い下がる。
「もっと詳しく話してください!!ちょっと─」
まりの叫びも虚しく、隊長は部下の元へと駆けて行った。
「あんの、爺め」
顔に似合わない品の無い言葉を吐いた、まりだったが、内心ちょっぴり怖かった。
だけど、彼女の場合好奇心がそれを上回っていたのだ。
――賊さん!来るなら、来い!
楽しそうな表情を顔に浮かばせて、彼女は心の中で叫んでいた。
「呼んだか?」
…うん?
何の声?
まり は恐る恐る後ろを向いた。
目に映った人物は、見るからに…
なんて言うか…
…不審者。
「―─やぁ!
お嬢さん」