蜜愛シンドローム ~ After Party ~
慧は鋭い光をその目に浮かべ、卓海を見る。
慧の言葉に、絢乃はすーっと青ざめた。
───いや、さすがに、それは、どうかと・・・
卓海はさっと色をなし、目を剥いた。
「よりによってお前がそれを言うか? お前の場合は、諦めるとか以前の問題だろうが!?」
「・・・え? 何?」
「お前、自分の個別編で何をしたか、まさか忘れたわけじゃないよな? ・・・言っとくけどな、あのラストはオレも北條さんも、どうやっても認められねぇよ?」
「別に誰に認められなくても、おれはかまわないけど?」
「・・・」
卓海と雅人は顔を見合わせた。
───慧が絢乃にかけた罠は、二人がかけた罠とは明らかに性質が違う。
そしてその罠の何が問題かを説いたところで、慧にはナシのツブテだろう。
雅人は嘆息交じりに言った。
「・・・罠についてはこんなところでいいだろう。これ以上これについて話しても、得られるものがあるとは思えない」
「同感ですね・・・」
二人はため息をつき、それぞれのグラスを傾ける。
絢乃は内心でビクビクしながら、自分の前に置かれたカンパリソーダに手を伸ばした。