蜜愛シンドローム ~ After Party ~
雅人の言葉に。
卓海は腕を組み、うーんと首を捻った。
「指示を聞くと言うか・・・。この頃、なぜか陰で『少佐』と呼ばれてまして。ちょっと異様な雰囲気になりかけているというか・・・」
「・・・そうなのか?」
「まだネコモードなんですけどね。裏は見せてないんですが・・・」
卓海は少し困惑した様子で呟く。
それを横目で見ながら、絢乃は内心でため息をついた。
───アナタの内から滲み出る黒いものが、既にネコモードでは隠しきれないレベルにまで達しているからではないでしょうか。
と言いたいが、そんなことを言ったらどんな目に遭わされるかわからない。
と唇を引き結んだ時。
「あ! アヤ~」
背後から朗らかな声がし、絢乃は振り返った。
満面の笑みで足早に歩み寄ってくるのは・・・
秋月慧。28歳。身長180cm、血液型AB。
絢乃の兄。個人事業主をしている。システム屋ではあるが、弁護士資格も持っているという変わり種。
昔から絢乃を溺愛しており、絢乃のためなら道ならぬ道でも迷わず歩んでいく。その溺愛っぷりは他者の追随を許さない。