青空にさよなら
第1章
お先真っ暗
正義感、なんて。
長所にもならなくて、ただただ自分が損するだけの、何の役にも立たないものなんだと知った。
だって、人を助けた結果が、“コレ”なんだもん。
下駄箱にあるはずなのに、ない上履き。
教室の隅に追いやられたうえに、“キモい”やら“ウザイ”やらと落書きされた自分の机。
ゴミ箱の中から見つかる教科書やノート。
破かれた体操服。
……もっと、他にやることないのかなぁ。
ため息が出る。
こんなワンパターンな嫌がらせに対して、もうつらいとか悲しいとか、そんな感情さえ持たなくなった。
きっかけは、いじめられていた子を助けたこと。
その結果、いじめの標的があたしに向けられ、あたしが助けたその子は見て見ぬふり。
昔から正義感が強かったのは自覚してたけど、そんな自分の性格は嫌いじゃなかった。
だけど、こんなことがあってからは、正義感なんて持つだけ無駄なことだと知った。
結局、人間は自分だけが可愛い。
そんな人たち、助ける必要も価値もない。
そう思い始めてから、あたしは変わった。
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