青空にさよなら





あたしは、びしょ濡れのまま学校を出た。


トイレのドアは、ドアの前に物を詰まれて押さえられていただけのものだったから、簡単に抜け出せた。
こんな思いをするくらいなら、あの時さっさと逃げていればよかったな。


そんなことを考えながら、あてもなくふらふらと歩いていく。


家に帰っても、お母さんに会いたくない。


こんな姿のあたしを見たら何があったのかぐらいは察してくれると思うけど、それでもあえて「学校に戻りなさい」なんて言われたらたまらない。


仮に、何も言わずにただ黙っていてくれたとしても、それはそれであたしはお母さんを悲しませたという罪悪感に苛まれることになる。


どっちにしても嫌なので、家には帰りたくない、というか帰れなかった。


かといって、他に助けを求めるところなんてどこにもない。


ふらふらと足が動くままに歩き続け、気づけば隣町との境目にある大きな川に着いた。


幅も大きくて、深さもある、川。


そこに架かる橋の上にあたしはいて、その川を覗くように下を向いていた。



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