青空にさよなら
橋の上から川まで、結構な高さがある。
今日は晴れているから川の流れも穏やかだけど、泳げない人にとっては大変な深さだ。
隣町のほうには行ったことがないからこの橋を渡ったこともないけど、何度かこの近辺には訪れたことがある。
ここに来ると、いつもなら、ぼんやりと大きな川だなと思うだけ。
でも……。
“ここから飛び降りれば死ぬのかな”。
今日初めて、そんなことを考えてしまった。
こんなことをしたら、それこそお母さんを悲しませてしまうことになるけど、自分が今ここに存在している理由がわからない。
もう、頑張って生きることに疲れた。
明るい未来が見えない。お先真っ暗とは、まさしくこのこと。
それに、あたしがいなくなったら、あいつらも美空も、少しぐらいは自分のせいだって悔やんでくれるかもしれない。
最後に仕返しをしてやるぐらい、別にいいじゃないか。
お母さん、ごめんなさい。
でも、やられっぱなしは嫌だからさ。
橋の手すりをぎゅっと強く握った。
その時……。
「何してるの?」
穏やかで優しい声が耳に届いて、身を投げようと橋の上に乗り出しかけていたあたしは動きを止めた。