青空にさよなら




あたしは、真っ青な顔で立ち尽くす美空のもとへ慌てて駆け寄った。


「美空!」


「あ、蒼唯ちゃ……。わた、し……」


知らない、やっていない、とあたしに向かって目で訴えながら、なんとか首を横に振る美空。


「美空がカンニングなんてするわけないでしょ!」


あたしが取り巻きにそう言うと、不敵な笑みをたたえた清水さんが割って入ってきた。


「でも、その消しゴム、須藤さんの机の上から落ちたんだから、須藤さんのものに間違いないじゃない」


それを聞いて、美空の顔からさらに血の気が引く。


「わ、私……ほんとに……ちがう……!」


ガタガタと体を震わせながら美空が必死で否定したけど、消しゴムは確かに美空が使っていたものと同じタイプのもの。


「最低ー」


「みんな、真面目にテスト受けてんのにね」


クラスメイトたちが好き勝手に口々と言う。


絶対はめられた……。


あたしは直感でそう思った。


しばらく何もしてこなかったと思えば、こんな形でクラスの皆の前で嫌がらせをしてくるなんて。こんなのまるで、公開処刑だ。


最低なのはどっちよ……!


涙目になる美空の肩を抱きしめながら、あたしは必死で考えた。


もしかしたら……あの時!?



< 129 / 226 >

この作品をシェア

pagetop