青空にさよなら




清水さんに勉強を教えに行っている時、美空の席のすぐそばを、その取り巻きたちがウロウロとしていたのは見た。


もしかしたら、美空を陥れるために同じ種類の消しゴムを用意してそれに答えをあらかじめ書いておき、清水さんが美空をひきつけている間に美空の消しゴムとすり替えたんじゃ……!?


あたしがそのことを言うと、清水さんも取り巻きたちも顔色ひとつ変えずにこう切り出した。



「証拠はあるの?川原さん」



くっ……。確かに、しっかりと消しゴムをすり替えているところを見たわけじゃない。あくまであたしが考えた仮定の話に過ぎなかった。


「今まで須藤さんが成績良かったのも、ぜーんぶカンニングしてたからなんだねー」


「どーりでね。こんなブサイクでどんくさい奴が頭良かったらあたし達の立場ないしー」


清水さんたちが口々に言う。その言葉たちは心無いものばかり。
クラスメイトたちの、あたしたちに向けられる視線も冷たかった。


「やってないよ……」


震えながら必死で弁解しようとする美空だけど、その声はか細かった。


何なの……こんなことして何が楽しいの。


そうまでして美空を陥れたいほど、中学の時のことを引きずってるの。


だとしても、こんな形で仕返しをするなんて、ただの子供だよ……!



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