青空にさよなら





翌日。


朝、学校に来ると、予想もしていなかった展開が待っていた。


「川原さん!今までいっぱい酷いことされてたんだよね?最低だよね、清水さん!」


“おはよう”よりも先に、クラスメイトの女の子に囲まれて、そんなことを言われた。


「しばらく学校来なかったのも、清水さんからいじめられてたからでしょ?」


「どんなことされてきたの?大丈夫?よく耐えてたね」


あちらこちらからいっぺんに飛び込んでくる、あたしを気に掛けるような言葉の数々。
でも……不思議と嫌な感じがした。


今まで、あたしや美空のことなんて見て見ぬふりだったのに、今更何で、こんなふうに心配なんてしてくるのか。


先に教室に来ていた美空も、あたしと同じような状況に立たされていて慌てているのがわかる。


「あの、みんな、急にどうしたの……?」


おずおずと問いかけると、クラスメイトの1人が顔をしかめて言った。


「昨日の、須藤さんのカンニング騒動あったでしょ?あれ、やっぱり清水さんの取り巻きたちが須藤さんの消しゴムすり替えてたんだって!斜め前に座ってた子が偶然見てたらしいの!」


「ええっ!? そ、そうだったの?」


何で昨日そのことをもっと早く言ってくれなかったんだ。


正直、そんなことを考えたけど、もうこの際どうでもよかった。たぶん、清水さんに目をつけられるのが怖くて言い出せなかっただけだと思うし。


それよりも、美空が無罪だったことを証明できる人が居てくれたという事実が嬉しかった。



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