青空にさよなら
第6章

知ってしまった現実






“俺がいなくても、大丈夫だね”


碧にそう言われた日から、1週間が経った。


学校はあれから何事もなく毎日平和に穏やかに過ごしていて、ついこの間中間テストがあったはずなのに、もうすぐで期末テストだという時期に差し掛かっていた。


でも、あたしの頭は碧のことでいっぱいで、テストどころではなかった。


あの言葉の意味は何だったんだろう。


最近のあたしは、ずっとそのことばかり考えていた。


聞き間違いかもしれない。実際にあの時の碧の声はあまりにも小さくて、確実にそう言っていたかどうかは定かではない。


でも、もし本当にそう言ったのなら、碧がもうすぐであたしの前からいなくなってしまうのかも……。


そう考えると気が気ではなくて、でも本人に真相を確かめるのが怖くて……。


あたしは、碧に会うことすら怖くて、あの川に行くことができないでいた。


「碧……」


今は、5時間目の国語の時間。


お腹いっぱいの中、先生の物語を読む声だけを聞いていると、それが子守唄になってしまうことは仕方がない。


居眠りをする生徒がちらほらいる中、あたしも窓の外の景色をぼんやりと眺めていた。


今日も、 夏らしい綺麗な青空だった。



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