青空にさよなら




そこで、やっと通りがかった男性が、あたし達に気づいてくれて助けを呼んでくれた。


あたしはというと、もうすぐで碧のもとへ行けるというところで、川の流れに苛まれたどりつけないでいる。


『碧っ、手を……』


必死で手を伸ばすあたし。その手を碧が掴もうとするけど、あと数センチというところで届かない。


早くしないと、碧が……!
小学生のあたし、頑張って!


展開はもうわかっているし変わらないのに、見守るあたしは無意識に祈るように手を合わせていた。


そして……。


――パシッ!


『やった!』


なんとか碧の手を掴むことができたあたし。
そのまま、岸まで引っ張っていこうとした時だった。


――ゴオッ!


急に水の勢いが強くなり、あたしと碧はあっという間に飲み込まれてしまった。


『……っ!ん〜!』


息ができない。
あたしはなんとか水面に出ようともがくけど、川の流れが強くて上がることができない。


ゴボゴボと水を飲んでしまい、酸素不足で意識を失いかける。


それでも、碧の手だけは離さなかった。


このままじゃ、碧もあたしも、溺れちゃう……!


小学生のあたしの心の叫びが、聞こえたような気がした時だった。



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