青空にさよなら
のーんびり、かぁ……。
そうだね、それがいいかも。
もともと正義感は人一倍強かったけど、自分はそうあるべきだって縛り付けてた部分もある。
だから余計に疲れちゃったのかもしれない。
自分のそういう性格は嫌いじゃなかったけど、それが無駄だと言われたみたいな今日の出来事はさすがにへこんだもんね。
「つらかったら、しばらく学校なんて行かなくていいんじゃないかな」
のんびり、まったり。
まさしくその言葉がぴったり合うような柔らかな雰囲気で碧が言った。
「いいのかな……逃げても」
まだどうしても決心のつかないあたしは、小さな声で聞いてみる。
すると、またポンポンと手のひらで叩くように頭を撫でられ……。
「逃げるんじゃないよ。ちょっと休憩するだけ」
碧の言葉が優しく心にしみていく。
「蒼唯はね、少し突っ走りすぎたんだよ。たまには休憩しないとさ。そんで、そのあとまた頑張ればいいんだよ」
優しく耳に届いては、あたしの心をどんどん軽くしてくれる。
不思議だった。
碧はあたしのことをなんにも知らないはずなのに、どうしてこうも欲しい言葉をくれるんだろう。
あたしのほうも、どうして碧の言葉を素直に受け止めているんだろう。
本当に不思議だ。空河碧という人は……。