青空にさよなら
もっと、一緒にいたいよ。
お話したいよ。デートに行きたいよ。
手を繋いで、抱きしめ合って、キスしたりして。もっともっと、いろんなことをしたい。
2人が出会ったこの川で、もっとたくさんの想い出を作っていきたいよ。
そんな、普通の人なら誰でも味わえるような小さな幸せを、経験することなく碧は消えてしまうというの?
そんなのって……ないよ……!
「こんなに好きなのに……二度もあたしの前からいなくなっちゃわないでよ……」
嗚咽を漏らしながら、碧の胸に顔を押し付けて、あたしは泣き続けた。
ここに来た時は早朝だったはずが、いつの間にか太陽は高い位置まで昇ってきている。
夏なのに、入道雲ひとつない、真っ青な爽やかすぎるぐらいの晴れ空。
あたしが手を離せば、碧はあっという間に、この青に溶けていってしまいそう。
そう思って、あたしは彼に必死でしがみついて、現実に抗い続けた。
「こーら。ダメでしょ、あおちゃん」
だけど、碧は許してくれない。
あたしの涙を拭ってくれる指は優しいのに、心なしかその声は強い口調だった。
「わがまま言っちゃダメ。それとも蒼唯は、俺をここに永遠に縛り付けておきたいの?」
うっ、と言葉に詰まってしまった。