青空にさよなら




「えーと……××町3丁目……」


あたしはその封筒の差出人の住所と、道の途中の電柱にある住所表示を交互に見ながら歩く。


大好きな人との想い出がいっぱいある例の川。


その川に架かる橋を渡り、あたしは初めて隣町に足を踏み入れた。


しばらく地図やら住所やらを見ながらうろうろしていると、なんとか目的の場所にたどりついた。


「ここか……」


あまり地図を読むのは得意なほうではなかったから到着できるか不安だったけど、橋からそう遠くない場所にあったのも助かって、なんとかなりました。


やって来たのは、普通のどこにでもある、一軒の民家。


【空河】


そう記された表札がかけられているのを確認してから、あたしは深呼吸をひとつしてから、インターホンを鳴らした。


〈はい?〉


しばらくして、優しい女性の声が、機械越しに返ってきた。


「と、突然押しかけてすみません!私、碧くんの知り合いの、川原蒼唯と申しますが!」


そこまで言うと、突然ガチャンとインターホンが切られる音がした。


あ……やっぱり、いきなりはまずかったかな。


そう思って出直そうとした時、家の扉が勢い良く開いた。


「蒼唯さん!?」


飛び出してきたのは、たれた目尻とくせ毛が碧にそっくりの女の人だった。



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