青空にさよなら





家の中へと招き入れられ、リビングへと通される。


広くて、綺麗な家だ。


カウンター式のダイニングキッチンを見て、ここで碧は毎日ご飯を食べてたのかな、なんて想像を膨らませてみる。


「こっちよ」


リビングを通り、その隣にある和室。
その仏壇に、小学生時代の碧の笑顔の遺影が飾られていた。


「碧……」


無邪気な笑顔だ。
幽霊の碧は、この頃より成長していたけど、屈託の無い笑顔を浮かべる時は小学生の時と変わらない可愛いあどけなさがあった。


思い出して涙が出そうになったけど、縁さんもいるし、ぐっと我慢。


仏壇の前に正座し、あたしはお言葉に甘えてお線香をあげさせてもらった。


「碧……今までありがとうね……」


死んでからも、ずっとあたしのことを見守ってくれていて。


手を合わせて、目を閉じる。


小学生の時の想い出、それから幽霊の碧との想い出が、走馬灯のように頭の中を流れていく。


一緒にいられた時間は、碧の生前と死後を合わせても、長いようで実はすごく短かった。


そんな中でも、あたし達はお互いを好きになったんだよね。
両想いになるまで、随分と時間がかかってしまったけど。



< 194 / 226 >

この作品をシェア

pagetop