青空にさよなら
「またいつでも来てね。ソラも喜ぶし、私も蒼唯さんのことは娘みたいに思ってるから」
家の前の門まで、縁さんは丁寧にお見送りしてくれた。
「はい。今日は本当にありがとうございました!」
ぺこりとお辞儀をしたあと、あたしは碧の家をあとにする。
帰り道は、清々しい気持ちでいっぱいで足取りは軽かった。
そして、その足は、何も考えなくても自然とあの川へと向かっていた。
橋を渡る途中、立ち止まる。
「ここで……碧と出逢ったんだよね」
小学生の時、それから、高校生になってもう一度。
碧に出逢ったおかげで、あたしは今、こうして生きている。
二度も救ってもらったこの命を、この先何があろうとも大切にしていかなければならない。
あたしは、そっと手すりを掴み、懐かしさに浸りながら残りの橋を渡りきった。
自分の住む町側に来ると、今度は土手に降りて、いつも碧がそうしていたように、青々と茂る草の上に寝転んだ。
目の前に広がるのは、抜けるような雲ひとつない空。
消える前に、碧があたしのことを青空みたいな存在だと言ってくれたことを思い出す。
あたしと一緒にいる人が、心が洗われるような清々しい気持ちになれる。
自分ではそんな人間だと思えないけど、碧がそう感じてくれていたのなら、これからもそういう人であり続けたい。