青空にさよなら
昔よく読んでた少女漫画で、ヒロインの女の子がイケメンの男の子に恋をして、何かある度にドキドキしていたけど、それはその男の子を好きだったからなわけで。
あたしは碧に対しては別に恋愛感情を抱いたりとかそんなわけ……。
「あ、蒼唯〜。あの雲、骨付き肉みたいで美味しそうだね〜」
「そ、そうだねっ」
まったりとした声が隣から飛んできて、あたしは慌てて頷く。正直、雲なんて見ていないから、どの雲が骨付き肉なのかなんてわかっていないけど。
「お、あれは猫みたいだ。かわい〜」
「へへっ」と楽しそうに笑う碧の横顔を見て、また胸がぎゅーっと締め付けられるような感じがした。
違うよ、違う。これは気のせい。
今は意識してそういうふうに見てしまったからなわけで!
確かに碧の優しい笑顔は好きだけど、それはその笑顔に助けられたからなわけであって!
誰に対して言っているのかわからない言い訳を、心の中で並べるあたし。
そんな自分が変だとは思ったけど、まさか出会って3、4日しか経っていない相手に恋なんて有り得ないと思ったから。
でも、考えれば考えるほど、ドキドキが大きくなっていくような気がして、その日は全く碧と落ち着いて話すことができなかった……。