青空にさよなら





次の日。あたしは今日もいつもの川へやってきて、碧と話していた。


「でね、家帰ったら担任の先生がいてさ!まじでびっくり!」


「そうなんだぁ。わざわざ蒼唯の家まで……」


昨日、澤田先生がうちに来たことを報告すると、碧は感心しているのかしきりに「へー、すごいね」と言いながらニコニコしてる。


「蒼唯の先生は、生徒思いな人なんだね」


「そうかなぁ。自分のクラスの生徒が不登校なんて、他の先生とかから印象悪いから嫌なだけなんじゃないの?」


冷めた答えを返すと、碧は相変わらず口元に笑みを浮かべたままで遠くの方を眺めた。


「そういうんじゃないと思うよ」


笑っているのに、そう言った碧の声は少し真剣味を帯びているように聞こえた。


「確かに、先生成り立てだから周りからの評価は気になるかもしれないけど、なんとなくその先生は違うと思う」


そう……なのかな。


もちろんあたしも、澤田先生を長いこと見ているわけじゃないから、彼女がどういう人なのかは知らないけど。


でも、“どうして不登校になったか”なんて。


傷をえぐるような質問を、あんなに簡単に聞くものじゃないと思う。


やっぱり、まだまだ経験の浅い先生なんだなと思ってしまった。



< 32 / 226 >

この作品をシェア

pagetop