青空にさよなら
次の日。あたしは今日もいつもの川へやってきて、碧と話していた。
「でね、家帰ったら担任の先生がいてさ!まじでびっくり!」
「そうなんだぁ。わざわざ蒼唯の家まで……」
昨日、澤田先生がうちに来たことを報告すると、碧は感心しているのかしきりに「へー、すごいね」と言いながらニコニコしてる。
「蒼唯の先生は、生徒思いな人なんだね」
「そうかなぁ。自分のクラスの生徒が不登校なんて、他の先生とかから印象悪いから嫌なだけなんじゃないの?」
冷めた答えを返すと、碧は相変わらず口元に笑みを浮かべたままで遠くの方を眺めた。
「そういうんじゃないと思うよ」
笑っているのに、そう言った碧の声は少し真剣味を帯びているように聞こえた。
「確かに、先生成り立てだから周りからの評価は気になるかもしれないけど、なんとなくその先生は違うと思う」
そう……なのかな。
もちろんあたしも、澤田先生を長いこと見ているわけじゃないから、彼女がどういう人なのかは知らないけど。
でも、“どうして不登校になったか”なんて。
傷をえぐるような質問を、あんなに簡単に聞くものじゃないと思う。
やっぱり、まだまだ経験の浅い先生なんだなと思ってしまった。