青空にさよなら




あたしが現れたことによって、美空は中学の時から続いていたいじめを終わりにすることができた。


美空からあたしへと標的が代わったから。


じゃあ、あたしがいなくなった今、あの人たちがいじめる相手は誰になるのだろう。


もしかして、また新たないじめの標的を見つけたのか……それともまた美空へと戻ったのか。


後者だとは思いたくないけど、前者の可能性は低いような気がする。
あたしのクラスには、美空を除いていじめられるような性格の子はいない。みんな、いじめる側に回るような見た目だけキラキラした嫌な奴ばかりだ。


だからといって、自分より下にいる人間を見下して楽しむようなあいつらが、今までいじめていたあたしがいなくなったからといっておとなしくしているわけがない。


『美空ちゃんは心までは救われてなかったんだね』


碧の言葉が脳裏によみがえる。


そうだ、命令されたからといじめる側に回るぐらい弱い心の美空。
きっと、あいつらにいいように遊ばれているに決まってる。


「? 川原さん?黙り込んでどうしたの?」


「!」


先生に呼びかけられてはっと我に返った。


「あ……いや、なんでもないです」


そうだよ、何を考えているんだあたしは。


いくら脅されたとはいえ、あたしにあんなことをした美空を、心配する必要なんてない。ほっとけばいいんだ。


あたしは思考をとめた。



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