青空にさよなら




「あのね、実は……」


一度言葉を区切り、大きく深呼吸をひとつ。


相変わらず穏やかな眼差しを向けてくれている碧に、あたしは意を決して伝えた。



「あたし、学校へ行くことに決めました」



てっきり驚くのかと思いきや、碧は意外にも表情を変えることなく。



「そっか」



とだけ、言った。


いつもみたいに優しさが全面的に出た、でもいつもとは違って無邪気な笑顔を浮かべて。


「俺、すっごい嬉しい。蒼唯がそう言ってくれて」


「碧……」


ニコニコしていて、本当に嬉しそうな碧。
碧はそこまであたしのことを心配してくれていたんだと実感する。


「でも、ちょっとまだ……怖いんだよね……」


だから、正直な気持ちを碧に打ち明けることができた。


「学校に行くって決めたけど、でもやっぱり、きっとまたいじめがあたしを待ってるから……」


そうだ、“いじめがあたしを待ってる”。


あたしは逃げただけで、何の解決もしていないから、戻ったところで待っているのはまたあいつらによるいじめだけ。


自分で言っていてつらいけど、事実だ。


また、無理強いされた美空に何かされるかもしれない。



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