青空にさよなら




「また逃げ出しちゃうようなことがあるかもしれないって考えると……ね」


碧の前では強がらないでいいって言われたから本音を告げたけど、我ながららしくないなぁと思う。


美空には謝ってもらったからもう大丈夫だと思ってたけど、やっぱり自分の中であの時のことはまだトラウマとして残っているのかもしれない。


あたしも、ずいぶんと弱くなったなぁ。


「大丈夫だよ。怖いのはみんな一緒だから」


俯くあたしに、碧の優しくて温かい言葉が降ってきた。


「蒼唯は弱くない。怖いって思っちゃうのは普通のことだから気にすることないよ」


ポンポンとしきりに頭を撫でてくれる碧。


不思議だ。碧にこうして話を聞いてもらって、頭を撫でてもらえるだけで、驚くぐらい不安が消えていく。



「確かに、またいじめられちゃうかもしれないね。でも、蒼唯はひとりじゃないからきっと大丈夫」



“ひとりじゃないから”


前にも言われた言葉が、心に染みていく。


あたしには、澤田先生がいて、碧がいる……。



「美空ちゃんも、心は蒼唯の隣にいると思うよ」



美空も……。


「……うん、そうだね!」


わざわざあたしのためにノートのコピーをくれている美空。ごめんねとメッセージまで書き残してくれていた。


表向きには無理でも、きっと心の中では味方でいてくれてるって、信じてみてもいいよね。



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