僕らはただ、恋がしたい
それまでハイテンションで話す2人を傍から見ていた俺は、一瞬ドキッとした。
「受付?」
「はい。肩くらいまでの長さの黒髪の人です。すげえ清楚な感じで、声も綺麗で、仕草とか上品なんすよね。育ちのよさそうな」
笑顔だった藤田さんが真顔になり、チラッと視線を向けてくる。
「…景山、諦めろ。その子は―――」
「ほら、喋ってないでさっさと行くぞ」
藤田さんの言葉をさえぎり景山の背中を一発叩いた。
「いてっ!ちょっ、今本気で叩きました!?」
騒ぐ景山とエレベーターへ向かう。
オフィスの扉を閉める時、一瞬見えた藤田さんは苦笑いを浮かべていた。