僕らはただ、恋がしたい
娯楽フロアは4階5階に設けられている社員なら誰でも使用できる場所だ。
4階は主に食堂、カフェなどの飲食関連や仮眠スペースなどの休憩場所。
5階は社員のリフレッシュを目的としたジムとシャワー室。
そして今俺たちがいるゲームコーナーだ。
さまざまなメーカーの新旧作品が取り揃えてあるこの場所は、2代目の社長が作らせたものらしい。
『机にかじりつき必死に頭を働かせて生み出したものよりも遊びの中でポッと生まれたアイデアの方が素晴らしい作品になること間違いない』、とかなんとか言って。
確かに頻繁にこの場所を利用している社員の方が売れる作品を生み出してはいるがそれは極少数。
大半の社員は2代目社長の言葉にかこつけてサボりにきてるだけだ。
…俺もその1人。
まだブツブツと文句を言っている景山から少し離れた場所に座り携帯を手にする。
気付かない間に着信とメールが入っていた。
どちらも母親であり上司である逢巳陽依からだ。
嫌な予感しかしないが無視をすれば後で何をされるか分かったもんじゃない。
ため息をつきながらメールを開く。