僕らはただ、恋がしたい
【今夜、茅沙ちゃんとのデートの時ドレス見に行ってきてね!
お店の場所は添付、連絡は済んでまーす。
まさかとは思うけど、まだ誘ってなかったりする???(^_^メ) 】
「怖ぇよ顔文字………」
もう1度ため息をつき【分かった】とだけ返信をする。
新規メールを開きお気に入りリストに唯一登録されている茅沙のアドレスを選んだ。
【式のドレスを見に行ってこいと言われた。今夜大丈夫か】
我ながらほとほと情けない。
こんなの、付き合って10年経つ恋人に送るメールなんかじゃない。
「彼氏、いるんですかね?」
「…っ」
突然話しかけられたことにビクッと反応し、顔をあげる。
ゲームをしているはずの景山が目の前の席に座っていて、今にも携帯を覗き込もうとしている。
「誰にメールですか?もしかして彼女さん?」
「勝手に見るな」
急いで送信ボタンを押し携帯をしまう。
「陽季さん、彼女いるんですか?」
「関係ないだろ」
「あ、その反応はいますね。いいなー俺も早く彼女欲しいなー。っていうか、茅沙さんが欲しいな…」
「……茅沙さん?」
できるだけ冷静に聞き返す。
正直心臓がうるさくてかなわない。